不動産相続の配偶者居住権について!成立要件や注意点も解説

不動産相続の配偶者居住権について!成立要件や注意点も解説

この記事のハイライト
●配偶者居住権とは、残された配偶者が自宅に無償で住み続けながら、今後の生活資金も確保しやすくする制度である
●権利を得るには、相続開始時にその家に住んでいた事実が必要であり、遺産分割や遺贈などで取得した後に設定登記をおこなう
●居住権は売却や譲渡ができず、固定資産税などの維持費も自己負担となるため、長期的な視点で検討する必要がある

不動産相続で自宅を受け継ぐ際、配偶者がそのまま住み続けられるのか不安に感じていませんか。
相続では取得する財産の分け方だけでなく、住まいをどう守るかによってその後の生活の安定が大きく変わるため、制度を正しく知っておくことが大切です。
本記事では、不動産相続における配偶者居住権の概要をはじめ、成立する要件や手続きの流れ、選択前に確認したい注意点について解説します。
不動産を相続する予定があり、配偶者居住権について理解を深めておきたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは?

配偶者居住権を理解するには、主に制度の目的や所有権との違いをおさえる必要があります。
まずは、制度が創設された背景と基本的な仕組みについて、解説していきます。

定義と所有権との違い

配偶者居住権とは、亡くなった方が所有していた建物に住んでいた配偶者が、一定の条件を満たすことで無償のまま住み続けられる権利です。
住まいを失わずに暮らしを続けやすくなるため、相続後の生活設計を落ち着いて考えやすくなるでしょう。
一方で、所有権のように自由に売却したり貸したりする権限までは含まれず、あくまで居住のための権利にとどまります。
そのため、建物を取得する相続人は負担付所有権を持つ形となり、配偶者の居住を前提に管理することになります。
住む権利と所有する権利を分けて考える点が、この制度の大きな特徴です。

制度創設の経緯と意義

配偶者居住権は、2020年4月1日に施行された相続法改正で新たに設けられた制度です。
以前は自宅の評価額が大きいことで、配偶者が住まいを確保すると、預貯金を十分に受け取りにくい場面がありました。
そこで、所有権と居住の権利を切り分けることで、自宅に住みながら生活資金も確保しやすい形が整えられたのです。
長く暮らした住環境を守りやすくなるだけでなく、他の相続人との遺産分割を進めやすくなる点にも意味があります。
このように、高齢期の生活安定を支える仕組みとして、実務でも重要性が高まっています。

存続期間などの基本の仕組み

配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者が亡くなるまでですが、遺産分割協議や遺言で別の期間を定めることも可能です。
また、この権利には経済的な価値があるため、遺産分割や相続税の場面では独立した財産として評価されます。
評価では、建物や敷地の価値にくわえ、配偶者の年齢や住み続ける見込みの長さなども考慮されます。
一般的に、利用できる期間が長いほど価値は高くなり、相続人同士の取り分にも影響しやすくなるでしょう。
このように、生活保障と公平な財産分配の両立を目指した仕組みとして成り立っています。

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配偶者居住権を成立させるための3つの要件

配偶者居住権を成立させるための3つの要件

前章では、制度の基本や仕組みについて述べましたが、実際に権利を得る方法も気になりますよね。
ここでは、配偶者居住権が成立する具体的な要件について解説します。

相続時の居住の事実

配偶者居住権を取得するには、相続が始まった時点で配偶者がその建物に実際に住んでいたことが前提となります。
この制度は、生活の場を守るためのものなので、すでに別の住まいで暮らしていた場合は原則として対象になりません。
また、建物は被相続人の単独所有、または被相続人と配偶者の共有であることが基本です。
第三者との共有建物は対象外となるため、相続前から名義関係を確認しておくことが大切です。
住民票だけでなく、実際の居住実態も整理しておくと、手続きを進めやすくなります。

取得方法別の手続きの手順

配偶者居住権を取得する方法には、遺産分割協議、遺言、死因贈与契約の3つがあります。
遺産分割協議では、配偶者が居住権を取得し、別の相続人が建物の所有権を持つ内容を全員で合意します。
遺言や死因贈与であれば、配偶者に住まいを残したい意思を生前から示しやすい点が特徴です。
どの方法でも、内容を証明できる書面を整え、必要書類をそろえて進めることが大切になります。
なお、遺産分割がまとまるまでの間に使われる、配偶者短期居住権とは別制度である点も確認しておきましょう。

登記などの法律上の要件

相続人同士の話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判によって、配偶者居住権が定められることがあります。
内容が確定した後は、建物について配偶者居住権の設定登記をおこない、第三者に対しても権利を主張できる状態にしておきましょう。
登記は原則として、配偶者と建物所有者が共同で申請し、存続期間などの内容を登記簿に記録します。
なお、登記の対象は建物であり、土地そのものに同じ登記をするわけではない点には注意が必要です。
登記を後回しにすると、将来の売却や名義変更の場面で不安が残りやすくなります。

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制度利用前に知っておきたい配偶者居住権の注意点

制度利用前に知っておきたい配偶者居住権の注意点

ここまで、配偶者居住権の成立方法を解説しましたが、実際の運用に関わる注意点もおさえておきましょう。
最後に、制度を選択する前に知っておきたい注意点について、解説していきます。

相続税評価額と取り分

配偶者居住権は住むための権利ですが、相続の場面では財産的価値を持つものとして評価されます。
評価額は建物や土地の価格にくわえ、配偶者の年齢や法定利率などを踏まえて算定される仕組みです。
そのため、配偶者が長く住み続けられる見込みが高いほど、居住権の評価も高くなりやすい傾向があります。
結果として、預貯金など他の財産の分け方にも影響し、他の相続人の取り分との調整が必要になるでしょう。
住まいの確保だけでなく、遺産全体の配分まで含めて考える視点が欠かせません。

売却制限と状況別の対応

配偶者居住権は、所有権とは異なり、権利そのものを自由に売却したり譲渡したりすることができません。
また、所有者の承諾なしに第三者へ賃貸することも原則として認められないため、活用方法には一定の制約があります。
急に資金が必要になっても、居住権だけを現金化する選択は取りにくいため、事前に家族で方針を共有しておくことが大切です。
途中で放棄や合意解除をする場合には、税務上の扱いに注意が必要となるケースもあります。
将来の生活変化を見据えて、どのような対応が必要になるかを早めに話し合っておくと安心です。

維持費用の負担と注意点

制度を利用する際は、住まいを確保できる安心感だけでなく、日々の費用負担についても確認しておく必要があります。
一般的に、居住中の固定資産税や通常の修繕費などは配偶者が負担する場面が多く、家計への影響を見ておくことが大切です。
さらに、間取り変更を伴うような大規模修繕では、所有者の承諾や費用分担の整理が必要になることもあります。
また、配偶者が亡くなった後は配偶者居住権の負担が消滅するため、その時点での処分方針も考えておきたいところです。
介護や住み替えの可能性まで含め、家族で長期的な見通しを共有しておくと判断しやすくなります。

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まとめ

配偶者居住権とは、残された配偶者が自宅に無償で住み続けながら、今後の生活資金も確保しやすくなるための制度です。
この権利を得るには、相続が始まった時点でその建物に住んでいた事実が必要であり、遺産分割協議などで合意した後に登記をおこなう必要があります。
ただし、売却制限があることや日常の維持費負担が生じる点に注意し、あらかじめ家族間で将来的な建物の取り扱いを話し合っておくと良いでしょう。
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